ベストシェルティの繁殖者の言葉として
繁殖者 望月 勤
世界の変化
世の中は、素晴らしい速度で進化しております。
その進化は我々が想像つかないスピードでいる事は、皆さんがご承知のとおりです。
シェルティに於いても、過去の栄光を追ってそれを満足していては、私が求めるアメリカを超える理想の犬を具現化する事はとても不可能な事のように思えます。
風評
人は3回ベストシェルティに輝くバイオレンスや、3年連続でベストシェルティを受賞したレジェンドが在舎しているので
その血液を追求するのが賢明で、いたずらに米国から多くの血液を入れるのは混乱を招くのみで、望月氏は迷路に入ったきり出てこられないだろうと、私の計画に反対する声が多く、巷の噂となって私の耳に入ってきたものでした。
決意
私は、今の日本の犬に満足し、これらを使っていては欠点だらけでアメリカを越す犬は絶対に出来ない、という確信の元に意を決して米国に渡り、我々の欠点をカバーしてくれる血液を求めて数十舎の犬舎を貪欲に巡り、自ら信じるスタンダードを基本にし、さらに数々の美しさを兼ね備えた犬を求め探し歩いたものです。
基礎となった輸入犬
それらの中に基礎犬となったマクデガ・マッカートを初めとして有名犬のバンコリー・ピアレスやマクデガー・エバグリーン、最近としては、タラヒルホームベース等々の数々の名犬を導入する事に成功しました。
マクデガー犬舎、バンコリー犬舎、ハナロア犬舎、ダンディ犬舎、クリスタリン犬舎、ケンシル犬舎、シャドウヒル犬舎始め数十の犬舎を訪問し、それらの方々の協力によって我が犬舎は血液は、ここ十数年の間に米国血液一色に塗り変えられました。
AKC-CH MACDEGA MARKATO
マクデガ・マッカート
AKC-CH BANCHORY PEERLESS
バンコリー・ピアレス
AM・CH MACDEGA EVERGREEN
マクデガ・エバーグリーン
AKC-CH TARAHILL HOMEBASE
タラヒル・ホームベース
AKC-CH KRYSTALYN A MOMENT IN TIME
クリスタル・ア・モーメント・イン・タイム
AM・CH CIMMARON DOUBLE FANTASY
シマロン・ダブル・ファンタジィ
良い犬を作るポイント 考えてる事
私の新しいシェルティに最も重要とされるものとして、理想とするシェルティのイメージ
性格は明朗闊達かつ頭脳明晰で判断力があること
その体の作りは、健全な揺るぎない構成であること
バランスは美しく全体として伸び伸びとしていること
ダイナミックでありながらスムーズで正確な歩様をしていること
近代的な頭部は滑らかな面で構成され、角ばったものや凸凹があてはならない
頭の位置が前足より前方にあり、首が前方に傾斜している犬であること
以上の5点を重視し、その具現に情熱を燃やしてきました。
私の望まないこと
前足の真上に首があり、ちょっと見ると首上げがいいと思えるもの
体全体が窮屈で伸び伸びとしていないもの
前足、後足の角度不足の為に、ダイナミックでスムーズな歩様で走れないもの
後ろ足の足先が真っ直ぐ前に向いておらず、外に向いている為に後ろ足の蹴りが十分でなく、推進力の弱いもの
一見、見てくれの良い毛量の多い事のみに専念して、体の内部である大事な骨格構成を軽視する事
近年思うこと
ようやく近年、その理想に近いらしき物が出現しつつあります。
その証左として、各地の展覧会において、BOB、BOSを獲得しつつありますが、その第一に推奨できるもとのして
今回の特別展においてベストシェルティ受賞した、シルバーシオン・ナショナルフラワーを挙げることができます。
その他数々の各地で活躍している犬達も数多くおりますが、ナショナルフラワーはシルバーシオン犬舎を代表する犬と言っても過言ではないでしょう。
もちろん、私が長年かけて米国より入れた血液の結集の創作でもありますが、所有者の福本守治氏の懸命なる情熱と努力なくしては今日の受賞はありえない事でしょう。
福本氏の努力もさることながら、裏方の奥さんの功績が非常に影の力となっていることも忘れてはなりません。
福本家に伺ってつくづく感じるものは、犬と一体になって、家族ぐるみで自分の子供のように犬を取り扱っている姿を見て
この奥さんあっての名犬ナショナルフラワーの出現だと思います。
家族全員で、栄誉あるベストシェルティを3回も受賞したといういことは、誠に希有なことであり、心よりお喜びを申し上げる次第です。
その福本氏の存在は、我々シオン会の中の目標であるゴールドメダリストとして最高峰の存在となっております。
シオン会の皆さんも、阪神の金本選手のような兄貴的存在の福本さんに敬意を払い、また大いに期待し、目標にして下さい。
期待
F1レースのミハエルシューマッハや、GP1のバレンチノロッシなど、彼らは天才と言われておりますが、事実は熱心な練習と頭を使った努力によるものと私は思っております。
車を造るメーカーは私であり、優勝の栄光に輝くのはレーサーの腕に掛かっているのと同じで、オーナーハンドラーが勝負の鍵です。福本守治氏においても同じ事が言えるのではないでしょか。
「努力なくして栄光なし」福本氏に私から期待を込めて贈る言葉です。
これからも精進に勤め、更なる躍進を期待するものです。
この度は、3回目のベストシェルティ、誠におめでとうございました。
心よりお喜び申し上げます。