●前書き
米国人がシェルティをジャッジングする時どんな処に注意して行っているかは、誰もが関心のある処です。
今回、ジャッジであり又図解によるスタンダードを記述した、「シェルティガイドブック」の著者で有名な
ジーンシモンズ女史が述べている『ジャッジングの心得』を読んで得た、さまざまな参考点の中で特に重要
と思われる一部を解り易くお伝えしたいと思います。
今後私共がシェルティを作るうえにおいて何らかのお役にたてれば幸です。
@スタンダード重視の評価
いかなる場合も個人的な好みでシェルティを評価しないように心掛けましょう。
自分の好みは一切捨て、シェトランド・シープドッグ種のスタンダ−ドを常に念頭において、
自分の好みよりもスタンダードそのものを重視した観察力で評価をすべきです。
又、スタンダードに記載されていない、個人的な見方で評価を行うことも控えるべきです。
A木も見て森も見る
シェトランド・シープドッグは本来健全でバランスのとれた動物であるので、
全体のバランスや調和が非常に大切です。
頭部が良いとか、下半身や走りが良いから等の一部だけに重点を置いて良い評価をしてはなりません。
又、逆に自分が繁殖上一番気にしている一つの欠点がその犬にあるからといって全体的には良いにもかかわ
らず悪い評価をしてもいけません。部分部分を軽視するわけではありませんが、良いところは良いところ
として評価はしてもあくまで、全体的な調和がなされているかどうかで決めるべきです。
Bテーブル上の表情
シェトランド・シープドッグはリング内で何処の場所でもいつも良い表情をしている必要はありません。
というのは、テーブルの上ではそれを期待してはいけないのです。
米国内での単独展では触診の評価をする上に於いて、便宜上テーブルを用意されますが
その台上では表情の演出は必要ないのです。表情や耳の動きなどは地面で評価されるべきです。
又、更に評価は耳や表情の僅差の競いで決定すべきではなく、スタンダードに沿って決められた欠点や美点を
それぞれの犬にあてはめ、それを評価の大事な決定的なものとして決めるべきです。
Cリング内での性格表現
スタンダードの基準ではシェトランド・シープドッグが見知らぬ人間に対してそっけなく、よそよそしく、
又用心深くあることを認めています。知らない人に触れられる事に対する不快感を表す事も含められています。
リング内でのそのような行動が恐怖から来るものでなければ、欠点とされるべきではありません。
シェトランド・シープドッグの性格は貴族的な態度をかもしだすのを理想的とします。
D走る速度について
シェトランド・シープドッグはリング内で100メートルランナーのような最高速度を競う動物ではありません。
速すぎる動きはハンドラーがその犬の構成上の欠陥からくる悪い歩様を隠す為にやっていると思われても
仕方ありません。良い動きとは普通のリラックスしたスピードの時であり、その時最も適切な評価を下す
ことが出来るのです。
それはバランスのとれた動きで滑らかな、更に正確な歩様がより明確に、誰にも確認されるからです。
正しい動きとはゆったりとした流れるような歩様で、無理を感じさせないものです。
又、足を前に投げ出したり、左右に回したり、更に乱れた歩様は欠点とされます。
シングルトラッキングが理想とされ、ムービングクロスは良しとされません。
E個人的理想のサイズについて
シェトランド・シープドッグは肩甲骨のところで13〜16インチの高さでなければなりません。
出場している犬のサイズが適外と思われる場合は入賞を控えたり順位を落としたりして、
中途半端な処置でリング内において審査を終らせるより、先ず、計測し、その犬がリング内にいるべきか
どうかを決めるべきです。もし範囲内ならば牡牝にかかわらず、何ら問題なく小型の牡でも大型の牝であっても
全体の犬質が良ければ全然減点の対象とはなりません。
サイズに於いて個人的な好みや個人的な理想像を介入させてはならないのです。
というのは、スタンダードの記載の中に個人的な特定の好みのサイズといったものはないからです。
●あとがき
犬の見方というものは人により千差万別で、その差で美についての評価が異なり混乱の元となります。
その為にスタンダードは制定されているわけですがそのスタンダードごとに記してある文章も個人の解釈
の仕方、理解度によりその画く理想像は異なって参ります。ジーンシモンズ女史のお書きになったガイドブック
は個人的な好み、自分に都合の良い解釈などで私共がとかく間違い易い点のみにしぼって述べてます。
米国と日本との間では色々と違いはあるにしても、米国のスタンダードをそのまま日本では日本のスタンダード
として決めておりますので犬を見る上においてこれらの心得は一考に値するものと思われます。
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