ジーンシモンズ女史による 米国におけるシェルティのジャッジングについて
(要はスタンダード重視の審査で自分の好みは入れない)
翻訳者  望月 勤        
前書き

米国人がシェルティをジャッジングする時どんな処に注意して行っているかは、誰もが関心のある処です。

今回、ジャッジで
あり又図解によるスタンダードを記述した、「シェルティガイドブック」の著者で有名な

ジーンシモンズ女史が述べている『
ジャッジングの心得』を読んで得た、さまざまな参考点の中で特に重要

と思われる一部を解り易くお伝えしたいと思います。


今後私共がシェルティを作るうえにおいて何らかのお役にたて
れば幸です。


@スタンダード重視の評価

いかなる場合も個人的な好みでシェルティを評価しないように心掛けましょう。

自分の好みは一切捨て、シェトランド・シープ
ドッグ種のスタンダ−ドを常に念頭において、

自分の好みより
もスタンダードそのものを重視した観察力で評価をすべきです。

又、スタンダードに記載されていない、個人的な見方で評価を行うことも控えるべきです。


A木も見て森も見る

シェトランド・シープドッグは本来健全でバランスのとれた動物であるので、

全体のバランスや調和が非常に大切です。

頭部が良い
とか、下半身や走りが良いから等の一部だけに重点を置いて良い評価をしてはなりません。

又、逆に自分が繁殖上一番気にしている
一つの欠点がその犬にあるからといって全体的には良いにもかかわ

らず悪い評価をしてもいけません。部分部分を軽視するわけではありませんが、良いところは良いところ

として評価はしてもあくま
で、全体的な調和がなされているかどうかで決めるべきです。

Bテーブル上の表情

シェトランド・シープドッグはリング内で何処の場所でもいつも良い表情をしている必要はありません。

というのは、テーブルの
上ではそれを期待してはいけないのです。

米国内での単独展では
触診の評価をする上に於いて、便宜上テーブルを用意されますが

その台上では表情の演出は必要ないのです。表情や耳の動きなどは地面で評価されるべきです。

又、更に評価は耳や表情の僅差の競いで決定
すべきではなく、スタンダードに沿って決められた欠点や美点を

それぞれの犬にあてはめ、それを評価の大事な決定的なものとして決めるべきです。


Cリング内での性格表現

スタンダードの基準ではシェトランド・シープドッグが見知らぬ人間に対してそっけなく、よそよそしく、

又用心深くあることを認め
ています。知らない人に触れられる事に対する不快感を表す事も含められています。

リング内でのそのような行動が恐怖から来るもので
なければ、欠点とされるべきではありません。

シェトランド・シー
プドッグの性格は貴族的な態度をかもしだすのを理想的とします。

D走る速度について

シェトランド・シープドッグはリング内で100メートルランナーのような最高速度を競う動物ではありません。

速すぎる動きはハンド
ラーがその犬の構成上の欠陥からくる悪い歩様を隠す為にやっていると思われても

仕方ありません。良い動きとは普通のリラックスした
スピードの時であり、その時最も適切な評価を下す

ことが出来るので
す。

それはバランスのとれた動きで滑らかな、更に正確な歩様がより
明確に、誰にも確認されるからです。

正しい動きとはゆったりとした
流れるような歩様で、無理を感じさせないものです。

又、足を前に投
げ出したり、左右に回したり、更に乱れた歩様は欠点とされます。

ングルトラッキングが理想とされ、ムービングクロスは良しとされません。

E個人的理想のサイズについて

シェトランド・シープドッグは肩甲骨のところで1316インチの高さでなければなりません。

出場している犬のサイズが適外と思われる場合は
入賞を控えたり順位を落としたりして、

中途半端な処置でリング内におい
て審査を終らせるより、先ず、計測し、その犬がリング内にいるべきか

どうかを決めるべきです。もし範囲内ならば牡牝にかかわらず、何ら問題なく小型の牡でも大型の牝であっても

全体の犬質が良ければ全然減点の対象
とはなりません。

サイズに於いて個人的な好みや個人的な理想像を介入さ
せてはならないのです。

というのは、スタンダードの記載の中に個人的
な特定の好みのサイズといったものはないからです。


●あとがき

犬の見方というものは人により千差万別で、その差で美についての評価が異なり混乱の元となります。

その為にスタンダードは制定されているわけ
ですがそのスタンダードごとに記してある文章も個人の解釈

の仕方、理解
度によりその画く理想像は異なって参ります。ジーンシモンズ女史のお書きになったガイドブック

は個人的な好み、自分に都合の良い解釈などで私共
がとかく間違い易い点のみにしぼって述べてます。

米国と日本との間では
色々と違いはあるにしても、米国のスタンダードをそのまま日本では日本のスタンダード

として決めておりますので犬を見る上においてこれらの心
得は一考に値するものと思われます。

アメリカのスタンダードの図解による構成バランスは下図の比率の通りになり、この比率は非常に重要である。

スタンダードに基づいた正しい犬の見方をするにはとても大事である。